300年余り続いた幕藩体制、武士による階級固定制度によって動かされていた社会では、 武士は対面と形式のみを追い求めて、それ以外のものを蔑み、 自身の現状も現実として顧みることをせず、それほど長くは続かないことが明らかな自身の立場にすらしがみつこうとした。
結果として自分の価値や存在意義さえも失っていくことになった。
そんな中で、本の副題にも出ている「御算用者」と呼ばれるような会計技術者の集団・一族は、 同じ武士階級の高位のものからは下に見られながらも、 現実的な必要性と実力・勤勉さにより大事件が起こるほど、情勢が混乱するほどに立場を高めていく。
さらには、時代の大きな移り変わり、近代社会への変換という激流の中にあっても、 しっかりと立場を得て、役割を担っていくことができた。
しっかりとした土台のない価値にしがみつくことの愚かさを身にしみなければいけない。
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