2010年11月29日月曜日

目指すは立体的な平和

 『「独裁者」との交渉術』という本が目に付いてしまった。
 国連の人として民族紛争の解決に当たってきた明石康さんに、ジャーナリストである木村元彦さんがインタビューした内容を新書にまとめたもの。
 
 たくさん示唆に富んだ部分があるけど、特に「平和」についてのコメント。(pp.28~29)


 私は、タンザニアの元大統領ニエレレが話してくれたことを忘れられません。彼はこう言っていました。欧米の人はよく平和、平和と言う。けれども、平和ということは、ともすると現状維持、既得権を認めることにつながりかねない。アフリカの人間としては、そのような不公正な現実を認めるわけにはいかない。つまり、正義が貫かれている平和でなければ本物ではないし、永続しないということです。私もそれに同意します。
 今の日本人の平和観は、ともすると、平面的な平和になるでしょう。三次元ないしは四次元の立体的な平和とは違うのですよ。どこかおかしい。もちろん正義をあまり振りかざすのも間違いです。それは往々にして危険です。せめて、理不尽な形で殺された人たちが浮かばれるような平和、抑圧された人たちが開放される平和でないと、だめだと思いますね。


この少し前の文章では。

私は、憲法九条の第二項に示される時代を先取りしすぎた平和主義-無抵抗平和主義みたいなものは、再考すべき時期に来ていると考えます。


まずは、日本国憲法に書かれている平和に関する条文をそのまま守ろうとすると、それは武力攻撃を受けた時には、徹底的に全国民が無抵抗で撃たれるに任せることになる。
「憲法9条を守る会」なるものや、9条死守を訴える政党は、もっとここのところをはっきりさせて、受け入れるか否かを我々日本国民に訴えないといけない。

そして、明石さんのおっしゃる「三次元ないしは四次元の立体的な平和」とは何か?
四次元的な平和というのは、いまいちわからないけど、
少なくとも紙の上で、文章だけで平和を叫び、望むだけでは意味がない。
もし平和を望むなら、その平和がどんな社会の姿なのかをはっきりさせて、その実現に向かって具体的な行動をやっていくことが「三次元の立体的な平和」、ということではないか?

とつらつら考えながら読んでいるけど、
とても読みやすく、わかりやすい新書です。

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「独裁者」との交渉術

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