2009年1月26日月曜日

"専業主婦"は幻じゃないか? -山本一力『はぐれ牡丹』-

またもや一力さん。

働きたいと言い出した奥さんに、旦那は、

  「物売りはおまえの気性に合っているだろうが、暑い日寒い日、それぞれきついぞ」 
  気遣ってみせたが、鉄幹は・・・・・は反対しなかった。長屋暮らしの女房が働くのはあたりまえだったから だ。(9頁)



専業主婦(または専業主夫)になりたいという人が、
結婚願望を持っている人と同数ではないだろうが、
相当数いるようだ。周りの話しを聞いていると。

でも、この「職業」は、第二次大戦後の状況が生んだものなのかもしれない。
公的年金での受給モデル世帯に組み込まれていたり、
もはやワイドショー絡みでしかない、「三食昼寝付き」の奥さんなんていうのは、
歴史の流れの中の、ほんの数十年間にしか見られない、幻なんじゃないか?


人間の生活を圧倒的に占めている基本は、
住むところ・食べるものを確保する為に、悩み、苦労することであって、
大して考える必要もなく、動き回る必要もない生活というのは、
貴重というか、やっぱりただ退屈で、
余計なことを考えて、何も産み出さず、ただ消費するだけになってしまうのではないか。


ただ、決してお金のために、または物質的な豊かさのために、
すべての人が働かないといけない、と言いたいのではない。
現役を引退した人が、余裕ができた時間で、
新しいこと、できたら他の人や社会のためになることを始められたり、
奥さん同士が、生活豊かにするために助け合えたり、
子どもが少しでも早い時期から家庭での手伝いができるようになることは
目指すべき豊かな社会の一端かもしれない。

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